竹中さんと馬子の出会いを考えていました。
まだ馬子が元服もしていなくて幼いころ、森の中に山葡萄や野いちごを探しに行ったのですよ。
(エッ!!なにそれ赤頭巾ちゃんみたい!!キュンッ)
そこで大きな木の根元にぐったりしている竹中さんに出会うのです。
一見してそれは人ではないのだけれども、幼い好奇心はそんなものを障害にしない。
馬子は今と変わらぬ調子で話しかけるんだ「お前、ここで何をしている」
(その森は一応曽我の領地だったのですよ)
竹中さんは首を動かすのもしんどそうに、それでも笑顔で答える「日向ぼっこ」
本当は、竹中さんは日向ぼっこなんかしていなくて、ちょっと自殺的なことをしてみようかなぁって思っている最中だった。
明確な意思は無く、ただ、少し色々なことに飽いてしまって。
水から離れてみた。
数日、数週間が経ち、身体は動かなくなり、力も無くなりつつあったが死はいつまでたっても訪れなかった。
竹中さんの身体が、竹中さんの意思に反して、彼を生かそうとしたのだ。
数日のうちに、身を横たえていた大樹からは艶やかな緑が消え、地面は黒く乾き果てた。
彼の身体が、周囲から精気を奪い彼を生かしていた。安らかな死は訪れず、自らが死を振りまく生き物に成り果てた。
そんな時だ、彼の目の前に人間の童子がひょっこりと現れ、声までかけてきた。
さてどうしたものか、早くここから立ち去らせなければ・・・この童子にも害が・・・
そんなことを思案していると、ぐったり座り込んだ彼を見下ろし童子が話しかける。
「ここは曽我の領地ぞ」
むんっ、と小さな胸を張って童子が腕いっぱいの木の実を抱えなおした。
領地・・・というのは、人間が主張する地面の所有の事だろう。身なりから見ても、この童子はそれなりの家柄らしい。
場所が悪かった。それにこの方法では死ねないらしい。場所を変えてまたやり直してみるしかないだろう。まぁ、人間が所有していない土地というのは、もうどこにも無いのかもしれないが。
しかし、動けない。死なない程度の精気はあるが、身体を動かすことは出来なかった。
ぐぅぅ~・・・
「・・・」
「なんだ、腹が減って動けんのか」
童子は抱えていた山葡萄の1房をぶちりと千切り、その一粒を彼の口元に押し付けた。
甘酸っぱい、熟れた精気が一瞬にして身体を廻る。
「食え、神も人も食わねば死ぬものだと母上は申していた。」
面食らっているうちに、小さな手はぐいぐいと葡萄の粒を彼の口に押し込み始める。
葡萄から、童子から、流れ込む精気が身体を潤していくのがわかった。
「何故生かす」
「この森は古くはりゅうじんさまより曽我家が賜ったしんせいなる土地ぞ、死でけがすことは許されぬ」
死ぬならよそで死ね。
捨てるように吐き、抱えていた山葡萄を彼の前に降ろした。
「日が暮れる、明日また来る」
まっすぐとした背筋で、童子は日の暮れはじめた森を駆け抜けて行った。
そんなことを考えてーましたーってか時間が!!仕事にもどるのすけ!!
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